2-15 幾何の定理を導く

演習問題を行う前に 1-2. Mathematica を使 うときの注意を良く読んでください.


内容

  1. 問題設定

  2. 余弦定理

  3. 三角形の内角の和

  4. 三角形の内角の2等 分線

  5. 三角形の重心、外心

  6. 円 周角の定理

  7. 演習問題


ここでは、幾何の定理を座標を用いて Mathematica で導いていきます。

問題設定

三角形P1P2P3を考えます。

一般性を失うことなく、点P1、P2、P3 の座標をそれぞれ、(0,0), (0, u), (v, w)  (u>0, v>0, w>0) と置くことができます。

ここで、図のように 辺P1P2、辺P2P3、辺P3P1 の長さをそれぞれ c, a, b とし、

P1、P2、P3 の角度をそれぞれ、α、β、γ とおきます。

これらのデータを Mathematica に入力していきます。

まず、点 P1, P2, P3  を定義します。

入力

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出力

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入力

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出力

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入力

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出力

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最大値が 18/5 であることがわかりました。この最大値を取る点を求めます。

ベクトル P1P2, P2P1, P2P3, P3P2, P3P1, P1P3 をそれぞれ p12, p21, p23, p32, p31, p13 として定義します。

入力

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出力

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入力

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出力

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入力

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入力

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入力

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出力

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次に長さ a, b, c を定義します。

入力

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入力

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入力

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出力

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cos(α), cos(β), cos(γ) を ca, cb, cc と定義します。

入力

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出力

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入力

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出力

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入力

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出力

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ついでに sinα), sin(β), sin(γ) を sa, sb, sc と定義します。

入力

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出力

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入力

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出力

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入力

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出力

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これで準備ができましたので、いろいろな定理を導いていきましょう。



余弦定理


余弦定理は

a^2 = b^2 + c^2 - 2 b c cos(α) 

ですね。(左辺 - 右辺) が 0 になるのをのを確認しましょう。

入力

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出力

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式を簡単にします。

入力

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出力

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0 になりましたので、余弦定理が証明されました。



三角形の内角の和


三角形の内角の和が180°であることを示しましょう。

cos(α+β+γ) = -1 であることを示せばいいですね。

まず、cos(α+β+γ) を展開します。

三角関数の展開には、Mathematica では TrigExpand を使います。

入力

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出力

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cos(α) = ca, cos(β) = cb, cos(γ) = cc, sin(α) = sa, sin(β) = sb, sin(γ) = sc ですので、

これらの変数に置き換えます。

入力

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出力

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u > 0, v > 0, w > 0 の条件の元に式を簡単化します。

入力

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出力

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cos(α+β+γ)  = -1、すなわち、α+β+γ = 180°が示されました。



三角形の内角の2等分線

三角形の∠P3P1P2 の2等分線と辺 P2-P3 の交点を E とするとき、b : c = |P3-E| : |E-P2| が成り立ちます

(ただし、 | P3 - E | は P3 と E を結ぶ線分の長さ、 | E - P2 | は E と P2 を結ぶ線分の長さを示します)。


これを証明していきます。

まず、点 E を 線分 P2-P3 を c : b に内分する点として定義します。

線分 P2-P3 を t : 1-t の比に内分する点は

E = (1-t) P12 + t P13

の形に表せます。今、t : 1-t = c : b ですから、t = c/(b+c),  1-t = b/(b+c) と取ればよいですね。

まず、t = c/(b+c) とおきます。

入力

出力

点E を E = (1-t) P12 + t P13 とおきます。

入力

出力

これで点 E の座標が計算できました。それでは、∠EP1P2 の傾きを調べてみます。

傾きは 点Eのy座標/点Eのx座標 で計算出来ますが、u>0, v>0, w>0 条件を入れて式を簡単化し、

変数 s へ代入しておきます。

入力

出力

これで∠EP1P2 の傾きが計算できました。それでは、この傾きの角度が ∠P3P1P2 の角度の2倍と

なっていることを確認します。tan x の2倍角の公式から

tan α = 2 tan(α/2)/(1- tan (α/2)^2)

が成り立っています。今、s = ∠EP1P2 の傾き = α/2 ですから、2s / (1-s^2) が  ∠P3P1P2 の

傾き w/v と等しければ良いことがわかります。

それでは確認してみましょう。

入力

出力

式を簡単化します。

入力

出力

∠P3P1P2 = 2 ∠EP1P2 が確認されました。

以上より、b : c = |P3-E| : |E-P2| を満たす線分P2-P3上の点を E とすることからスタートして、この点 E が

∠P3P1P2 = 2 ∠EP1P2 を満たすことを示しました。

∠P3P1P2 の2等分線と辺 P2-P3 の交点は、辺 P2-P3上に1つしかありませんから、これから

∠P3P1P2 = 2 ∠EP1P2 を満たす点は b : c = |P3-E| : |E-P2| を満たす線分P2-P3上の点で

あることになり、上の定理が証明されたことになります。



三角形の重心、外心

三角形の重心、外心、推進、内心の座標を求めて行きましょう。

まず、重心の座標を計算します。

既に高校で重心の座標は (P1+P2+P3)/3 = ( (u+v)/3,  w/3 ) と学んでいますが、これを確認します。

重心を計算するために、まず下の図のように、辺P1-P2 の中点を D、辺P2-P3 の中点を E とします。

このとき、点D の座標は P1P2/2、点 E の座標は (P1P3 + P1P2)/2 で与えられます

(ただし、P1P2 は点 P1, P2 を結ぶベクトル、P1P3 点 P1, P3 を結ぶベクトル)。

点D と点 E の座標を計算します。

入力

出力

入力

出力

辺 P3-D 上の点は P1P3 + q (D-P3) で表すことができます(ただし、q の実数のパラメータ)。

同様に、辺 P1-E 上の点は r (E-P1) で表すことができます(ただし、r の実数のパラメータ)。

重心は辺 P3-D と 辺 P1-E の交点ですから、 P1P3 + q (D-P3) = r (E-P1) の方程式を解けば

重心の座標がわかります。やってみましょう。

入力

出力

パラメータの値 q = 2/3, q = 2/3 がわかりました。

r (E-P1) にこのパラメータの値を代入して、重心の座標を求め、変数 j に代入します。

入力

出力

重心の座標が ( (u+v)/3,  w/3 ) であることが確認されました。

次に外心の座標を求めます。

外心は 点P1, P2 からの距離が等しい点として定義することができます。

まず、外心の座標を G = (x0, y0) とおきます。

入力

出力

点 P1, P2, P3 から G への距離が等しいという条件は

| P1 - G |^2 = | P2 - G |^2 = | P3 - G |^2

と表せます。これを方程式とみて、x0, y0 について解きます。

入力

出力

x0, y0 が求まりました。これを G に代入します。

まず、外心の座標を G = (x0, y0) とおきます。

入力

出力

入力

出力

これで、外心の座標が求まりました。

ここで次の定理を考えてみます。

三角形の外心と重心が一致するとき、その三角形は正三角形である。

この定理を証明しましょう。今、重心と外心の座標 j, g が既に計算されてますので、

j = g を方程式とみて、u, v, w を決めればよいですね。

やってみましょう。j, g は2次元のベクトルですので、j = g より、2つの方程式ができます。

ですから、u, v, w のうち、2つの変数の値が決まります。ここでは v, w の値を決めてみましょう。

入力

出力

(v, w) = (1/2, ±3^(1/2) / 2 ) × u ですので、これは三角形 P1P2P3 が正三角形であることを意味しています。

よって、上の定理は証明されました。




円周角の定理

円周角の定理は、よく知られているように

三角形 P1P2P3 が円周上にあり、点 P1, P2 を固定した時、点P3 を動かしても、角P1P3P2 は一定である

という定理です。これを証明して行きましょう。

今、円の中心を (x0, y0) とすると、三角形 P1P2P3 が円周上にあるという条件より、

(0 - x0)^2 + (0 - y0)^2 = (u - x0)^2 + (0 - y0)^2 = (v - x0)^2 + (w - y0)^2

がわかります。

これを方程式として、u, w について解いてみます。

入力

出力

いくつかの解がでましたが、u > 0, w > y0 より、3番目が求める答えであることがわかります。

これを sin(γ) に代入します。

入力

出力

これが変数 v の値によらない一定値であること示せば定理が証明出来ますね。

x0 > 0, y0 >0, v>0 の条件の元に式を簡単化してみましょう。

入力

出力

sin(γ) が x0, y0 のみで決まることがわかりました。よって、円周角の定理が証明されたことになります。



演習問題

(1)正弦定理を証明しなさい。

(2)ヘロンの公式を証明しなさい。

(3)垂心、内心を求めなさい。また、重心と垂心が等しければ、その三角形は正三角形であることを示しなさい。