15. 就職活動について

 

 過去2年間に数理情報コースに入学した人たちの大半は,中学校・高等学校の数学教師になることを希望しています(中には小学校教員を目指す人もいます)。新入生の皆さんをいきなり脅かすようですが,卒業と同時に本採用の教員(本採教員)になることは,ほとんど不可能であると言わざるを得ません。実際,ここ数年間,教員志望の卒業生の多くは,臨時採用の教員(臨採教員)や非常勤講師を何年間も続けています。本採教員というのが正式に雇用された教員のことで,臨採教員・非常勤講師とは,言ってみればアルバイト・パートタイムみたいなものです。平成11年度の教育学部卒業者は大学院を含めると300名程いるのですが,私立も含め本採教員になれたのは,極めて少数でした。山口県の場合,本採教員採用数は年々減少を続けています。少子化と年齢構成に由来する定年退職者のさらなる減少もあって,平成12年度以降についても,状況はさらに悪化することが予想されます。向こう10年間は,教員採用数の大幅な増加は見込めません。山口県の教員の募集に対して、教育学部の出身者が何名かは中学校教員として採用されることになりますが,ここで注意しなければならないことは,その多くは臨採教員・非常勤講師を何年も続けた者が本採用に切り替わるのに過ぎない,ということです。即ち,卒業と同時に本採教員になれる可能性はほとんどないということです。少子化は全国的な傾向ですから,他県の場合も,状況はほとんど同じであると言えます。

 そこで,新入生の皆さんに言いたいことは,一般企業等への就職を真剣に考えて欲しいということです。一般企業への就職を希望しているのならば,教育学部なんかに来ないと言うかもしれません。確かに数学を学ぶならば理学部,情報を学ぶならば工学部の方が,専門性を深めることができます。しかしながら,専門性の点で他学部に比べ若干劣るとしても,皆さんはその分幅広い教養を身に付けることことができます。理学部や工学部で学んだとしても,学部レベルで身に付く専門性など,企業が求める専門性から見れば,実に他愛のないものです。幅広い教養を身に付けておくことの方がどれだけ重要であるか分かりません。企業もそういう人材を求めています。例えば,皆さんがソフトウェア開発を行う企業を志望したとします。このような企業では,以下のような理由(『』内)で,教育学部出身者が今後必要になるのです。『2002年に移行する新教育課程では,情報機器を用いた学習の推進が強調されています。このために,2001年までに全国のすべての小中学校にコンピュータ室が設置され,インターネットなどを用いた授業が行えるようになります。現在でも,学校現場では,市販のソフトウェアを利用し,授業が行われています。しかしながら,従来の教育用ソフトウェアは,学校現場の意見を聞きながら企業の目で作ってきたものであり,一般性はありますが,教師の存在が意識されておらず,授業効果に対する検討が充分になされていません。授業は子供・生徒たちの実態に応じて組み立てられるべきものであり,教師の授業に対する意図が柔軟に反映できるソフトウェアでなければ,教具としての価値はありません。また,コンピュータを用いることが逆に子供・生徒の自由な発想を妨げることもあるので,コンピュータを使う目的,場面がしっかりと検討されていなければなりません。教育学部の学生は,豊富な教育実習を通して学校現場を見ています。授業の構成の仕方,教材の在り方などについても,専門的な知識を持っています。』どうです,必要になる理由が納得いきましたか。これからは,教育学部の出身者が数多く一般企業に入り,教育を側面から支援していくことは,社会的ニーズであると言っても過言でありません。また,企業に就職したからといって,教員への道が閉ざされる訳ではありません。ご存知の方もあるかもしれませんが,山口県では,今年度以降の教員採用に当たって,社会人枠を設けるそうです。学校現場では,純粋培養された教員だけでなく,豊富な社会経験をもつ人材が求められています。

 就職戦線は,3年生の後期から本格化します。4年生になってから就職活動を始めても遅すぎます。従って,3年生になったら,自分の行きたい企業について調査し,夏休み前までに3社位を目処に本命の企業を絞り込んでおいて下さい。そうしておけば,我々教員が夏休みの時期に企業訪問を行い,皆さんを売り込むことが出来ます。

 就職戦線おいて優位に立つためには,数理情報コースで学ぶ皆さんにとっては,「情報処理技術者試験」に合格しておくことが何よりも求められます。この試験は,4月と10月の年2回実施されます。出来れば3年の4月に,遅くとも3年の10月には,「第二種情報処理技術者試験」に合格しておいて下さい。「情報処理技術者試験」を目指した課外授業も開くことになっています。正課の授業ではありませんが,出来るだけ参加するようにして下さい。「第二種情報処理技術者試験」の合格者には,受講することなしに複数の授業科目の単位を出すことを検討しています。「第二種情報処理技術者試験」に合格しておくと,教員採用試験においても有利になります。山口県では,今年度の教員採用試験から,パソコンの技能検定を行うことになっています。それほど,情報に強い教員が求められているのです。「第二種情報処理技術者試験」の合格を願書に記載できれば,採用に際し有利に働くことは,想像に難くないでしょう。「第二種情報処理技術者試験」の上級試験として,「第一種情報処理技術者試験」があります(4月にのみ実施)。卒業までにこの試験に合格しておけば,就職後も給与面などで恩恵を受けることが期待出来ます。

 新入生オリエンテーションの際に,「インターンシップ」と呼ばれる制度の説明がありましたね。これは,夏休みなどの時期に企業等に出向き,就業体験を行うことです(原則無給です)。皆さんもこの制度を活用して,企業現場を体験し,就職に対する自分の意識を高めるよう努めて下さい。教育学部では,「インターンシップ」の単位化を検討しています。

 マスコミなどでよく報じられるように,英語コミュニケーションの力が,社会のあらゆる場で求められています。小中学校でも,「総合的な学習」の柱の一つとして,「情報」と並び「国際理解」が挙げられています。そこで,皆さんも英語コミュニケーションの力を研くよう努めて下さい。共通教育の基礎外国語科目に「英語T(N)」,「英語V(会話)」という開設科目がありますが,英語コミュニケーションの力を身に付ける第一歩として,これらの科目を出来るだけ受講しましょう。特に,「英語T(N)」は外国人教師による実用英語です。英語コミュニケーションの力を測る国際的な試験として「TOEFL」,「TOEIC」がありますので,これらの試験も活用しましょう。留学をする場合にも,これらの試験である点以上を取ることが求められます。例えば,米国の一流大学に留学しようと思えば,「TOEFL」で600点以上が必要です。

 情報技術力と英語力に加えて,教育力(教育学部出身者の専売特許)という付加価値があれば,就職戦線において間違いなく有利な立場に立てます。今すぐにでも始めて下さい。

自ら将来設計を描き,発展させ,具体化する努力を。我々も皆さんの修学・就職指導に全力で当たります。これから4年間の大学生活が皆さんにとって実り多いものとなるよう願っています。

 

 

シェルピンスキーの三角形とその変形